雪
音もなく 舞い落ちる
雪のひとひらが
掌に
それは
痛みにも似た 冷たさをつたえ
やがて
とけていく
あなたも
この雪のように
きえてしまったのだろうか
掌に雪をうける
掌にのこる
冷たさ
そして その後の
火照ったような
ぬくもり
それは
ひとひらの雪が
たしかに在ったことの
あかし
たとえ
あなたが
きえてしまったとしても
あなたをうしなった痛みと
共にいた時間の ぬくもりは
ずっと のこる
掌ではきえてしまったはずの
雪が
草も樹も
山も河も
世界いっぱいを
ひといろに
染めぬいている
茨城県安禅寺住職 染谷典秀「雪」『明珠 平成20年正月号』
曹洞宗大本山総持寺出版部、pp.2-3より。



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