« August 2009 | Main

September 2009

音もなく 舞い落ちる

雪のひとひらが

掌に


それは

痛みにも似た 冷たさをつたえ

やがて

とけていく


あなたも

この雪のように

きえてしまったのだろうか


掌に雪をうける


掌にのこる

冷たさ

そして その後の

火照ったような

ぬくもり


それは

ひとひらの雪が

たしかに在ったことの

あかし


たとえ

あなたが

きえてしまったとしても

あなたをうしなった痛みと

共にいた時間の ぬくもりは

ずっと のこる


掌ではきえてしまったはずの

雪が

草も樹も

山も河も

世界いっぱいを

ひといろに

染めぬいている


茨城県安禅寺住職 染谷典秀「雪」『明珠 平成20年正月号』

曹洞宗大本山総持寺出版部、pp.2-3より。


| | Comments (0)

« August 2009 | Main